日本では官民が動き、働き方改革を行っていますが、その動きは、ワークスタイル変革にも及んでいます。具体的には、オフィスにおける各社員の席を固定しない制度などがあります。その中でも、ワークスタイルそのものを変えるものとしては、テレワークを利用した在宅勤務の推進です。しかし、このワークスタイル変革は、企業によってなかなかうまく浸透していないのが現実となっています。

積極的な推奨をせず実際に利用する社員が少ない

在宅ワークの制度を設けたものの、ほとんど利用する社員が現れず、みんなオフィスに来ているというケースも多く見られます。この理由の大きなものとしては、制度を設けて発表しているものの、会社が積極的に社員に推奨してしないことが挙げられます。もちろん、会社としては在宅ワークをしてもらった方が、オフィス運営費などが削減できますのでありがたいのですが、数値目標などを設定せず、ただ単に制度を設けるだけで満足してしまっているというのが大きいと言えるでしょう。そして、各部署の上司など、責任ある人たちが率先して在宅ワークに切り替えるなどの動きを取らないと、その下にいる社員はなかなか自分からは動けないものです。こうして、お互いが周りの様子を見てから考えようということになってしまって、改革が進んでいかないのです。

こうした問題をクリアするためには、やはり全社を挙げてPR活動をすると共に、どのくらいの割合の社員が在宅ワークをするのが望ましいかなどの数値目標を公表することです。また可能な範囲で、直接声がけをするなどして、責任ある立場の人たちが先陣を切ることが重要です。

効果と具体的な利用法を検証せずに見切り発車

企業のIT化が進んでいるために、クラウドツールやタブレット端末を導入して、社員が利用できるようにする流れが見られます。しかし、最新ツールを導入しても実質効果が上がっていないという企業は結構あるものです。導入コストに見合うだけの営業効率の改善や、社員同士のコミュニケーションが向上しておらず、ただコストだけをかけて終わってしまうことがあります。さらに悪いことに、多くの端末が社内で使われるようになったため、情報の管理がうまく行かず、個人情報や会社機密が漏れてしまうリスクが高まるということもあります。

こうした失敗事例の根底にあるのは、新システムの導入前の検討不足です。まず、どうしてそのシステムを導入しようとしたのか、目指す効果をはっきりさせ、できるだけ数値にして示します。そして、システムを導入することによるリスクや、新たな問題点を予測し、あらかじめ可能な限りの対策を講じておくことが必要です。さらに、システム導入に伴って、社員への教育をすることが欠かせません。どのようなシーンで使うのが効果を生むのかや、トラブルを引き起こさないために避けることなどを徹底させるといったことが挙げられます。

現場の実際を考えず机上の空論で終わってしまう

ワークスタイル変革は、経営のトップが提唱してゴーサインを出すものです。しかし、上層部だけのアイディアやリスク回避対策では、現場の実際に見合っていないという事態が生じることがあります。テレワークを導入して、各部署で何割程度の社員がその働き方をするようにと指示を出します。その制度が進行していくにつれて、給料計算が不明朗だったり、社員同士のコミュニケーションが取れない、取引先からの緊急連絡が受けられなかったりという失敗が生じることが多いのです。これは、現場の動きを具体的にシミュレーションしていないことが理由となった失敗例です。こうした事態を防ぐためには、事前に現場の社員のヒアリングをじっくりと行う、まずは少人数でテストケースとして実施して、うまく行くかどうかを見極めてから本スタートする、などの動きが必要となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ワークスタイル変革の重要性はわかっているものの実際に進められなかったり、失敗に終わってしまう企業が多いのも現実です。そうならないためにも、しっかりと数値目標を立てること、具体的な運用のシミュレーションをたてること、現場の社員の声もしっかりと反映させていくことの３つが重要となります。

業務改善やコミュニケーションの活性化のためのワークスタイル変革が裏目に出てしまっては元も子もありません。そうならないためにもしっかりと計画を立てて進めるようにしましょう。

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