飲食店においては、厨房とホールの設計というのは集客を大きく左右する大事なポイントとなります。料理の味だけでなく、店の雰囲気をお客様は大事にしますので、設計段階から真剣に考えることで、より良いお店にしていくことができます。また、厨房の設計によって働きやすさが格段に変わってきますので、スタッフが気持ちよく働けるように考えることも欠かせません。今回の記事では、厨房設計を考える上で重要なポイントを紹介します。
調理過程をどれだけ見せるかという点からスタート
まず、調理の過程をどこまで見せるのかということを始めに考えましょう。最近の飲食店ではオープンキッチンのスタイルを採ることが多くなっていて、店舗設計/厨房設計の方法が根本から変わっています。オープンキッチンにするのであれば、単に働きやすいというだけでなく、働いている姿や調理器具が美しいと思えるような造りにしないといけません。働いているスタッフの姿が見えるのが魅力という飲食店も多いので、一つの集客アップのポイントともなります。一方で、お客様がくつろげる空間を作るために、ホールは独立した空間にしたいという要望もあります。この場合は、厨房を効率だけで考えて設計できますので、より働きやすい空間とできるというメリットもあります。
作業が流れていくスペース作りをしていく
一人ですべての調理をするというお店ならともかく、たいていの飲食店では、複数のキッチンスタッフが作業を分担しています。そして、それぞれの作業がスムーズに流れることによって、調理もより楽になります。この一連の調理の流れをきれいに続けられるキッチンにするのが理想的です。野菜や肉などの下調理から加熱、味付けのスペースに行き、最後に盛り付けの広めのスペースに行くという流れです。ベルトコンベアで流すように、食材が流れる形でキッチンができているととても働きやすくなります。
そして、冷蔵庫や食器の保管場所がそれぞれの業務に対応しているということも大事です。これができていないと、他の人が作業しているところに食材を取りに行ったり、食器や器具を出したりしないといけなくなります。忙しい時に、人がクロスするような動線になってしまうと非効率な上、事故が生じやすくなります。できるだけ、それぞれの作業を同じゾーンで完結できるように店舗設計するのがベストです。また、ホールとの連絡を考えることも大事です。オーダーを受けて順番に作業が進んでいきますが、盛り付けを終えてホール係に皿を渡す時に、厨房の奥から出てこないといけないとなると大変です。注文を受けてから、下調理、仕上げ、盛り付けをするまでに、ホールに帰ってくるような動線を描けるようにするのがポイントです。
またオープンキッチンの場合は、どの調理過程を一番お客様から見やすくするのかも設計時に考えるようにしましょう。作業効率だけを考えて厨房設計してしまいますと、地味な調理過程ばかりお客様が目にする可能性もございます。せっかくのオープンキッチンにする場合は、調理過程の中で華のある部分をしっかりと目にできる作りにしましょう。
熱の回り方を考えた店舗設計をする
ほとんどの飲食店では、常時ガスレンジを使って加熱調理を行います。このレンジ周りというのは、やけどなどの事故が起こりやすいことから、多少広めのスペースを確保する必要があります。また、熱がホールの方に回ってしまうと、空調に影響があります。さらに、加熱スペースではどうしても音や匂いも、他のゾーンに比べて強くなります。ホールにこうした影響ができるだけでないようにするためにも、ホールからは離れた位置に配置するのがベターです。特に、中華料理店においては、その傾向が強くなっています。
また、ドリンクを作るところや冷蔵庫の近くに熱源を置かないというのも原則です。このように、レンジスペースというのは、他の作業に影響が最も出やすいところですので、全体の動線を考えながらも、初めの段階でレンジの位置を決めてしまった方が、効率よく作業を進められる店舗の設計がしやすくなります。厨房の中心となるレンジの位置を大事にしてキッチンの他の配置を決めていくようにしましょう。
まとめ
以上、厨房設計を考える上で重要な点をご紹介しました。今回は基本的な考え方をご紹介させていただきましたが、一概に店舗設計といっても、業態によって変わってくる点もございます。お店のイメージなどや提供する料理をしっかりと考量に入れたうえで、慎重にシミュレーションするようにしましょう。専門的な知識も必要になってくる場面も多くありますので、できれば厨房設計を業者にお任せすることをオススメします。オフィス・店舗まるごとNAVIでは厨房設計はもちろん、店舗全体の設計・施工もやっておりますので、是非お気軽にご相談ください。