働き方改革と生産性の向上を実現するために、2017年よりスタートした「プレミアムフライデー」。実際に導入している企業は一部ですが、実施を月末ではなく別の日に変更する「振替プレミアムフライデー」をはじめとした柔軟な活用方法も提案されながら推進される模様です。
プレミアムフライデーはまだまだ定着しているとはいえませんが、「ノー残業デー」であれば導入している企業が多いかもしれません。しかし、実際にはノー残業デーに残業をしている社員も多く、名ばかりになっているという声があるのも事実です。そこで今回は、ノー残業デーを浸透させるためのポイントをご紹介します。
ノー残業デーに残業する理由
ノー残業デーを導入しているにもかかわらず、うまく浸透しないのはなぜなのでしょうか。それは、以下のような理由が考えられます。
- その日に片付かなかった業務を翌日に先延ばしできない
- すぐに対応しなければならない案件がある
- 上司が残業しているので帰りづらい
仕事そのものに原因がある場合や、職場環境に原因がある場合など、さまざまな理由があります。それを解決するには、根本的な改善が必要です。具体的にどのような方法があるのか、以下で見ていきましょう。
自分で決める「マイ・ノー残業デー」
一般的に、ノー残業デーは「毎週○曜日」といったように全社一斉に行われます。しかし、それでは業務とのタイミングが合わず、残業が必要な日がノー残業デーと重なるケースがあるかもしれません。また、別の曜日なら余裕があるということもあるでしょう。そこで、ノー残業デーを社員が個々に決められる、「マイ・ノー残業デー」という方法があります。
マイ・ノー残業デーのメリットとデメリット
マイ・ノー残業デーのメリットは、社員が自分の仕事の状況によって日程を調整することができる点です。また、社員全員が一斉に不在となるわけではないので、緊急時も対応がしやすくなります。
デメリットとしては、個人の裁量に委ねられるために強制力が低いことが挙げられます。慢性的に仕事が立て込んで早く帰れない社員や、マイ・ノー残業デーに消極的な社員がいると、仕事に余裕があっても制度を利用しにくい雰囲気が生まれてしまうかもしれません。また、通常のノー残業デーのように一斉実施ではないため、節電はできなくなります。
残業する人はマントを着用!?
ある企業では、ノー残業デーに残業する社員に、退社予定時刻を書き込んだ紙を貼った紫色のマントの着用を義務づけました。その恥ずかしさからか効果はてきめんで、残業時間がほぼ半減したとのことです。
「帰りにくい空気」には「帰らせる工夫」を
これは、変わったルールを導入することで社員が早く帰りたくなるような工夫につながっているといえます。周囲が残業しているので帰りづらいというケースにおいて、非常に効果的でしょう。
残業が必要になる仕事は断るという方針を掲げる企業も
企業の方針として、製作請負やイベント出展のような、取引先に合わせて残業が発生することが明白な仕事は受けないというケースもあるそうです。
取引先からの仕事の依頼は会社の利益に直結するため、断るのはハードルが高いものです。しかし、それが企業としての方針であればハードルは下がります。また、取引先の理解も得られやすいでしょう。
取引先よりも社員を大切に
大切な顧客である取引先と良好な関係を築くために、仕事の依頼はできる限り受け入れたいところです。しかし、無理に仕事を抱えると、自社の従業員の負担が大きくなります。それを軽視した結果、社員の過労死などを招いてしまっては取り返しがつきません。取引先との関係は大切ですが、それ以上に自社の社員を大切にすることが重要です。
しかし、取引先との関係悪化を招けば、会社の利益が悪化する可能性があります。たとえ企業の方針だとしても、安易に振りかざすことがないように気を配りましょう。
総合的に考えて導入を進めよう
ノー残業デーは、実施する曜日を決めるだけではなかなか浸透しません。個人の業務内容を見直して無駄を洗い出し、仕事の配分を調整しながら進める必要があります。社員が無理なく利用できるノー残業デーを目指しましょう。