オフィスの経費削減を考えるうえで、対象とするのは税金や家賃の次に電気料金といわれています。そして、この電気料金の削減には「電力自由化」による新電力への切り替えが欠かせません。とはいえ、新電力へ切り替えた途端、「本当に電気代が安くなるのか」「設備費用が高額なのではないか」などと不安が募り、なかなか切り替えが進まない企業も多いのではないでしょうか。今回はそのような不安を解消しつつ、新電力の切り替えにはどのようなメリットがあるのかを考えてみましょう。
そもそも新電力とは?
2016年4月1日から適用された「電力の小売自由化」により、工場や中小ビルだけではなく、家庭や商店も電力会社や料金メニューが選べるようになりました。新電力とは、既存の電力会社ではなく、新規参入する特定規模電力事業者のことをいいます。
新電力に切り替える際に電線を新たに引く必要はありませんし、電気そのものは既存電力会社から購入する際と全く変わりません。また、契約した新電力が電気を調達できない場合も、送配電網の管理会社が不足分を補給するため、すぐに停電になることはありません。さらに、契約した新電力の会社が倒産した場合も、新たな供給元が見つかるまで各地域の既存電力会社から供給を受けることができます。
現在の電力切り替えの現状は?
資源エネルギー庁の調査によると、2016年5月以降は月20万件ほど新電力への契約先の切り替えが行われているようです。一方、既存の電力会社の自社内契約の切り替え数は月10万件ほどですので、いかに新電力への切り替えが多いかが伺えます。
ちなみに、電力小売り全面自由化の先駆けともいえるEU諸国では、時間の経過とともに既存電力会社から新電力への切り替え率が増加しています。理由としては、新電力への切り替えによるメリットが利用者に周知され、さらに切り替え手続きが簡単であることが理解されるまで、時間がかかったからだといわれています。日本でも同様に、徐々に新電力へ切り替える人が増えるとみられています。
新電力への切り替えメリットとは?
新電力に切り替えるメリットとしては下記5点があげられます。
1.電気料金の経費削減
第一のメリットは、電気料金の経費削減です。今まで独占的な電気供給が可能だった既存電力会社では、発電コストや人件費、設備維持費用など多額な費用がかかることから電気料金が高止まりしていましたが、新電力会社は人件費の削減を含む経営努力で、基本料金単価や電気料金を低く抑える傾向があります。
また新電力会社は、競合間や既存電力会社との価格競争に晒されています。そのため新電力会社では既存電力会社にはなかった新しい料金プランを出し、顧客それぞれに合ったプランを選ぶことで電気料金を大幅に削減することが可能です。
2.新電力へ切り替える際のリスクが無い
新電力会社には、電力不足の際には既存の地域電力会社が代わりに電力供給をするというバックアップが義務付けられています。そのため、新電力における電力不足があっても停電のリスクはありませんし、電気の質や信頼性、供給が安心して受けられます。
3.新電力に切り替える際に初期費用が掛からない
新電力への切り替えによる登録手数料や設備を導入する際の初期費用はかかりません。
※ただし新電力によっては解約時に手数料が発生することもあります。
4.簡単に新電力への切り替えができる
新電力切り替えの際の申込から契約、送電開始までは、ほぼ2.5か月といわれています。申込みにも面倒な手続きは必要ありませんし、スムーズに低価格の新電力へ移行することができます。
5.セット割でさらなるコスト削減も
新電力では、自社や関連会社が提供する製品やソリューションをセットで購入すると、さらに電気料金が安くなるプランを展開している会社もあります。オフィスで使えるさまざまな製品もより安く購入できることもあります。
新電力への切り替えは、デメリットやリスクなく電気料金を削減できる可能性が高い方法といえます。自社でいまだ電力会社の見直しをしていないのであれば、これを機会に新電力への切り替えを検討してみてはいかがでしょう。
参考: